中部脳リハビリテーション病院では、アルツハイマー型認知症軽症および軽度認知機能障害(MCI)で国内承認された「レケンビ®点滴静注(200mg・500mg)」(一般名:レカネマブ)の治療を開始します。レカネマブ治療には適応条件※があります。
※脳内にアミロイドβ沈着の確認等
治療をご希望の際は、かかりつけ医もしくは当院外来までご相談下さい。
全体の流れ
レカネマブ治療およびアミロイドPET/CT検査は、下記のように行います。
STEP 1アルツハイマー病による軽度認知障害又は |
|
---|---|
STEP 2脳にアミロイドβが |
|
医療機関の方へ
患者様の紹介方法は「紹介の方法」ページからご確認ください。
ご紹介いただく際は、診療情報提供書をFAXにてお送りください。
- アミロイドPET/CTの検査薬は取り寄せとなります。
- 検査実施は当院診察後の予約となります。
また、当院ではMRI、脳血流SPECT等のアルツハイマー型認知症の確定診断の検査も合わせて実施しております。お気軽にご相談下さい。
レカネマブ(レケンビ®点滴静脈注)治療
レケンビ製剤は、「アルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)」と「アルツハイマー病による軽度の認知症」に対する薬です。この薬は、主にアミロイドβプロトフィブリルに対して効果を発揮します。 アミロイドβプロトフィブリルは、アミロイドβがかたまりになる過程で生成される物質であり、レケンビはこれに結合することで、異物を排除する細胞であるミクログリアを引き寄せます。これにより、アミロイドβが取り除かれます。その結果、脳内のアミロイドβが減少し、アルツハイマー病の進行が遅くなることが期待され、認知機能の障害が緩やかになることが見込まれます。
治療スケジュールと費用
レケンビは、点滴によって投与される治療薬で、1回の投与に約1時間かかります。患者様には2週間ごとに当院へ来院いただき点滴を行います。初回投与を受ける方は、事前にMRI検査が必要です。
治療が始まると、以下のタイミングでMRI検査が行われます。
- 初回投与後約2ヶ月経過時(5回目の投与前)
- 初回投与後約3ヶ月経過時(7回目の投与前)
- 初回投与後約6ヶ月経過時(14回目の投与前)
それ以外の場合でも、医師の指示に従って必要に応じてMRI検査を受けるようお願いします。
薬の投与中は、6ヶ月ごとに医師が症状や治療の進捗を確認し、18ヶ月目にはレケンビの効果や病状の進行に基づいて治療を継続するか中止するかを判断します。同時に、副作用の発現状況も定期的に評価され、必要に応じて治療中止の判断が行われることがあります。
患者様は、定期的な検査や医師の指導に従いつつ、安心して治療を受けていただけます。
点滴投与時間 | 約1時間 投与後、経過観察が必要です。 (初回は約4時間) |
---|---|
定期的なMRI検査 | 5・7・14回目を目安 |
注射費用 |
体重により投与量が決まります。
|
- 高額療養費制度が適応されます。
別に診察料、必要に応じ検査費用が加算されます。
アミロイドPET/CT検査
アルツハイマー型認知症の原因とされるアミロイドβの脳内沈着を確認するのが、アミロイドPET検査です。認知症の50%以上がアルツハイマー型認知症によるものとされています。アルツハイマー型認知症では、脳内にアミロイドβやタンパク質が沈着し、これが神経細胞に障害を与え、認知機能が低下すると考えられています。
アミロイドβは認知症が発症する前から脳内に沈着すると考えられ、アミロイドPET検査はこの沈着を確認できる検査となります。
検査スケジュールと費用
検査前
検査当日
検査時間 | 約2時間 |
---|---|
検査費用 |
高額療養費制度が適応されます。 1割負担約24,000円 3割負担約72,000円 |
- 別に診察料等が加算されます。
検査条件
- アルツハイマー型の軽度認知症(MCI)等を疑われる患者に対し、レカネマブ製剤投与の可否を判断する目的で行われる場合が対象となります。
- 脳脊髄液検査を行っている場合は対象外となります。